漢方医のブログ② 漢方治療の向いている症状など | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
お知らせ NEWS

漢方医のブログ② 漢方治療の向いている症状など

 漢方治療の向いている症状などはどのようなものでしょうか。漢方治療は下記のような症状・病態に向いており、各診療科の現代医学的標準治療で十分改善しない症状にも有効な場合があります。つらい症状の一層の改善や体調管理の一環として、漢方の知恵をご活用いただければと思います。

1 冷え症
 現代医学で冷えは重要視されません。それどころか冷え症の記述は教科書にも出てきません。漢方医学において冷えは最重要事項のひとつです。冷え症は漢方医学の気血水の異常に関連して起きやすいため漢方医学の理論では説明し易く、また漢方薬は冷え症に効くものが多いため、その治療は漢方薬の独壇場と言えます。
2 虚弱体質による体調不良、体力低下
 疲れやすい、胃腸が弱い、体が冷えるといった体調不良はよくある悩みですが、現代医学的治療は意外と少ないものです。漢方医学では活力や熱など足りないものを補う漢方薬を補剤と呼び、様々な症状・病態に活用しています。漢方は補剤の豊富なラインナップを有し、現代医療の場で最も漢方医学の応用が期待できる場面と考えられます。
3 老化に伴うさまざまな症状
 高齢者は概して複数の病気を抱え、多愁訴であることが多いものです。このような場合、身体をパーツごとに分けて診る現代医学的診断治療では、薬剤の処方数が多くなりすぎたり総体としての患者さんの体調が必ずしも十分改善しない場合が見受けられます。こういったケースでも、漢方治療なら多くの症状にひとつの漢方薬で対応できる場合があります。
4 アレルギー性疾患の症状軽減、体質改善
 例えば花粉症は、漢方医学的見方では「水滞」と考えて治療します。花粉の飛散する時期は対症療法主体ですが、飛散しない時期も漢方医学的な体質改善を目指した治療を行うことは特徴の一つです。また現代医薬の抗アレルギー薬と異なり眠気などの副作用が出ないのも大きな長所で、車の運転をする人や受験生などには特に喜ばれます。
5 生活習慣病など慢性疾患の症状軽減
 日常診療において現代医学的に対応しづらい症状は少なくなく、最終的には不定愁訴と片付けられてしまいがちです。例えば「体力をつけたい」と患者さんが希望しても、現代医学的には適当な薬がなく困ってしまうことがあります。漢方医学で何でもすべて解決というわけにはいきませんが、現代医学的に行き詰ったら漢方医学の見方も活用するとよいと考えます。
6 西洋医薬品(抗がん剤など)の副作用の軽減
 手術や抗がん剤など現代医学的ながん治療は、攻撃的でがんに対する効果は強力である反面健常な細胞や臓器に対する副作用・機能低下が避けられません。補剤を中心とした漢方薬はがん細胞自体に対する強力な作用はないものの、現代医療と組み合わせることによって食欲や免疫抵抗力の改善、副作用の緩和を図ると同時に抗がん剤治療など現代医療の完遂率向上にもつなげることができます。実際に術後の腸閉塞に大建中湯、抗がん剤による下痢や口内炎に半夏瀉心湯、抗がん剤による末梢神経障害に牛車腎気丸など、補剤を中心に様々な処方が応用され多くのエビデンスが報告されています。