2024年11月1日から、アトピー性皮膚炎に対するデュピルマブ(デュピクセント®)とレブリキズマブ(イブグリース®)が薬価改定で値下げされます。デュピクセント®皮下注300mgペンは61,714円から53,659円に、イブグリース皮下注250mgオートインジェクターは61,520円から50,782円になります。デュピクセント®が売れすぎているために、新薬ともども年度途中で値下げとなりました。それぞれの薬剤の特徴は、デュピルマブ(デュピクセント®)はブログ12、レブリキズマブ(イブグリース®)はブログ19を参考にしてください。ここでは、注射の費用について書きたいと思います。
2018年4月にデュピルマブ(デュピクセント®)が日本で発売されて6年になりますが、適用が拡大されていて、後発品(バイオシミラー)は、あと10年くらいは出ないようです。その優れた効果と安全性から重症アトピー性皮膚炎の治療が劇的に変わりました。適用は生後6か月以上の小児です。注射は最初が2本で、以後は2週間ごとに1本注射します。3割負担ですと、自己負担は1本あたり16,098円、6本で96,587円です。3か月間処方(6本)すると年収370-770万円の人は高額療養費制度が利用できるので月26,700円の負担となります。2年目以降に多数回注射が適用されると負担は月14,800円となります。また、最初の2本を月初めに実施すると、最初の月の3本と3か月間処方(6本)を合わせた金額について高額療養費制度が利用できます。
イブグリース®は新発売のため、おそらく2025年4月まで長期処方と自宅注射ができません。最初の1か月は注射を2本×2回、計4本打ちますので、自己負担が3割負担の人では60,938円、その後は1か月に1回1本、15,235円かかかります。月1回注射方式ですと、高額療養費制度は来年度以降も含め利用できません。月2回注射方式ですと、2025年5月から高額療養費制度が利用できます。3か月間処方(6本)すると年収370-770万円の人は月26,700円の負担となります。2年目以降に多数回注射が適用されると負担は月14,800円となります。デュピルマブの効果がいまひとつで顔面頚部の紅斑やかゆみが軽快しない人、注射回数を月1回に減らしたい人などが試みてみる治療と考えます。ただし、適用は12歳以上です。
以上、いずれかの薬剤をうまく使用すれば、2年目以降の自己負担は、およそ月当たり15,000円前後で済むことになります。この金額でもまだ医療費は高額ですが、これらの薬剤の注射により、長年悩まされた痒みから開放されることを考えれば高くないと思います。高校生までは補助金が出るので、いずれの薬剤も個人負担は生じない自治体が多いと思います。成人の自己負担額は年収や年齢、付加給付制度、医療費補助制度などにより異なりますので、パンフレットを参考の上で勤務先、自治体などにお問い合わせください。
2024/09/17西新宿サテライトクリニック 坪井 良治 ©2024 Tsuboi