糖尿病専門医ブログ3 糖尿病は治療中断が多い疾患?  | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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糖尿病専門医ブログ3 糖尿病は治療中断が多い疾患? 

 わが国発の大規模糖尿病臨床研究である、“糖尿病予防のための戦略研究(Japan Diabetes Outcome Intervention Trial; J-DOIT 1~3)” は、2005年から厚生労働省主体で実施されました。そのうちの1つ、『かかりつけ医の糖尿病診療において,いかにして受診中断を抑制できるかの研究(J-DOIT2)』は、2019年に“糖尿病受診中断対策包括マニュアル”1)としてその結果がまとめられましたが、その中では、『かかりつけ医における糖尿病受診中断率は、年に8%程度と推察される』 とされ、1年間で何と約12人に1人の患者さんが、受診を止めてしまうという結果が明らかになりました。また、同時に行われたアンケート調査で受診中断の主な原因として挙げられたのが以下の2つでした。

① 診療の優先度および診療の必要性への理解不足

② 医療費の経済的負担が大きいこと

 この中でも、特に医療者が改めて考えさせられたのが②の経済的問題です。糖尿病治療学は21世紀に入りめざましい進歩を遂げ、多くの革新的薬剤が登場しました。その一方で新薬の価格はどうしても高価となることが多く、結果として定期的に支払う医療費も以前に比べ高額となることが増えてきたのです。医療者はより良好な病態を目指して薬剤を処方致しますが、その結果患者さんの経済的負担が増し、受診中断につながることがあるとすればまさに本末転倒です。患者さん方には、医療費の負担を少しでも感じることがあればどうか担当医に忌憚のない所をお話し下さい。当クリニックでもできる限りの方策を練りたいと考えております。


参考1)https://mhlw-grants.niph.go.jp

                           西新宿サテライトクリニック内科

                             三輪 隆(日本糖尿病学会 研修指導医/専門医)