漢方医ブログ㉔ 香蘇散(こうそさん) | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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漢方医ブログ㉔ 香蘇散(こうそさん)

香蘇散は北宋時代(1100年代)の『太平恵民和剤局方』という処方集に出てくる漢方薬です。「四時の傷寒温疫を治す」すなわち季節や重症度を問わずどんなタイプの風邪にもよいと書いてあることから風邪薬として用いられることが多いですが、胃腸虚弱にもよいし、抑うつ症状を中心とした精神症状、食事性蕁麻疹などアレルギー疾患の治療にも応用できるなど、とても幅広い適応があります。

香蘇散の名前は構成生薬の香附子(こうぶし)と蘇葉(そよう=赤紫蘇)に由来します。それぞれ香りが強く、煎じ薬にすると特にシソのさわやかな香りがあたり一面に漂います。実はこのシソの香りに抗うつ作用があることが、近年の私たちの研究でわかってきました。アロマセラピーという言葉をよく耳にしますが、漢方薬の香り成分にこのような薬効があると科学的に証明されたのはおそらくこれが初めてと思います。またシソは抗アレルギー作用があり、古来「魚毒を清す」すなわち青魚などにあたるのを防ぐと言われ用いられてきました。飲食店やスーパーのお刺身を思い出してください。よくシソの葉の上にお刺身が乗っているでしょう。あれは単に見栄えだけの飾りではなく、実は一緒に食べるとよいのです。加えて陳皮、甘草、生姜といった胃腸薬の成分も入るため、香蘇散は風邪や胃腸症状、うつ症状、アレルギーなど様々な症状に効能を持つのです。でもそれぞれの関連がなさ過ぎて、ちょっと西洋医学的な発想からは出てきませんよね。

ちなみにこの香蘇散、以前ご紹介した半夏厚朴湯とともに気の巡りをよくして自律神経バランスを整える気剤と言われる漢方薬の代表です。新年度が始まり心身に負荷やストレスがかかりやすいこの季節、香蘇散も助けになる可能性があると思います。