2023年11月1日より内科の診療が始まりました。
当初は一般内科と循環器内科が中心となります。
そこで当院で行う循環器内科の特殊検査を紹介します。
動脈硬化という言葉を聞いたことがある人が多いと思います。しかし厳密には動脈の壁全体が硬くなる動脈硬化と、動脈の内側にアテローム変性という変化が生じて、動脈の内腔が狭くなる(狭窄する)動脈硬化があります。動脈硬化を見る検査としてPWV/ABIと頸動脈エコーがあります。これらの検査について説明します。
【PWV/ABI検査】
PWVとはPulse Wave Velocityの略です。訳語は脈波速度です。ベッドに横になって、両手両足に血圧を測定するときと同様なマンシェットを巻きます。そして加圧し、両手両足の血圧を測定すると同時に、心臓から出る血液の波(脈波)の速度を測定します。金属管の端をハンマーで叩くとキーンという高い音が速く伝わりますが、ゴム管を叩くとボーンという低い音で金属よりも遅く伝わります。これと同じ原理で血管が硬くなると脈波が伝わる速度が速くなるのです。PWVは年齢とともに速くなります。世間でよく“血管年齢”と言われているのはこの検査で出た値の平均的な年齢を示しています。
同時に測定できるABIはAnkle Brachial Indexの略です。訳語は足関節上腕血圧比です。正常では足首の血圧のほうが上腕の血圧よりも高いのですが、足に向かう動脈に狭窄が生じる「閉そく性動脈硬化症」という病気になると足首の血圧のほうが上腕の血圧よりも低くなってしまいます。こうなると歩き続けると足が痛くなるという間欠性跛行という症状が出現します。歩行を止めて休むと痛みが消えるのでまた歩けるようになり、これを繰り返すことになります。この間欠性跛行は「脊柱管狭窄症」という整形外科疾患でも生じますが、この場合のABIは正常です。
【頸動脈エコー】
エコーにより頸部(首)にある動脈を観察します。この検査も超音波検査ですので痛くはありません。頸動脈の壁の厚さを測定したり、血管内膜測にプラークと呼ばれるアテローム変性によるコブのようなものを観察したります。 動脈硬化を来す大きな要因は高血圧症、糖尿病、脂質異常症、そして喫煙です。これらの疾患を複数お持ちの方や、一つでも病気の程度が強い方には、定期的な動脈硬化検査をお勧めします。