漢方医のブログ⑤ 健康維持につながる養生について その2 | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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漢方医のブログ⑤ 健康維持につながる養生について その2

 今回は養生の説明の続きです。運動はもちろんですが、入浴や睡眠、ストレスをためないといったことも大切な養生になります。

運動について

 膝や腰が悪くなければ基本的にウォーキングがおススメです、8000歩を目標にして下さい。天気が悪いときなどは、自宅でのテレビ体操やストレッチでもOKです。

 漢方医学的に、運動不足は瘀血の悪化を招くと考えられます。一方で、運動は瘀血のほか気鬱・気逆(自律神経バランスの失調により憂うつ、不安、動悸などの症状が出現)の改善にも有効、神経の緊張を和らげ自律神経のバランスを整えてくれます。

 『養生訓』には「養生の術は、つとむべき事をよくつとめて身を動かし、気をめぐらすをよしとす。つとむべき事をつとめずして、臥す事をこのみ身をやすめおこたりて動かさざるは、甚養生に害あり。久しく安座し身を動かさざれば、元気めぐらず食気とどこほりて、病おこる。」(養生の方法としては、身体的な労働をしっかり行い、体をよく動かすことでエネルギーを体中に循環させるのがよい。それをせずゴロゴロ寝ていることを好み、怠けて動かないでいることは、養生に大きな害がある。長く楽な姿勢で座ったまま動かなければ、元気が体を循環せず食欲も起こらなくなるため、それが原因で病気になるものだ)と記されています。

入浴・睡眠について

 入浴は清潔を保ち、身体を温めリラックスさせる大切な養生のひとつです。しかしバスタブに入らないでシャワーで済ます人も多いようです。ただシャワーだけでは温まらないどころか、季節によってはかえって体が冷えてしまうことがあります。短い時間でも必ずバスタブにお湯を張り、ぬるめのお湯に(できればゆっくり)入るとよいでしょう。また睡眠については、特に近年睡眠負債が注目されています。個人差はありますが、できれば7時間以上を確保してください。

 漢方医学的に、入浴は運動と同様、血行改善や自律神経バランスの調整(気血の調整)を期待できます。また睡眠不足は気鬱・気逆を中心にさまざまな不調に関係します。

 『養生訓』には「夜書をよみ、人とかたるに三更をかぎりとすべし(中略)深更までねぶらざれば、精神しづまらず」(夜に読書をしたり、おしゃべりをしたりするのは、遅くとも0時までにするのがよい。夜更けまで眠らないと、精神が静まらないからだ)と書かれています。

ストレス管理について

 ストレスの多い時代ではありますが、だからこそ日常のストレス管理がとても大切です。趣味や余暇を持つことはもちろん、食事や運動もできるだけ楽しんで過ごすようにしましょう。上記にも関連することとして、人生に目的を持っている人はそうでない人と比べ死亡率が低いという研究結果がでています。

 『養生訓』には「病ある人、養生の道をばかたく慎みて病をば憂ひ苦しむべからず。憂ひ苦しめば、気ふさがりて病くははる。病重くても、よく養ひて久しければ思ひしより病いえやすし」(病気を持っている人は、適切な養生の方法をしっかりと守り、病気のことをあまり心配しすぎないほうが良い。心配しすぎると気持ちが塞がって、かえって病気が悪くなる。病気が重くても、気長に養生して過ごせば、思っているより病気が良くなるものだ)と記されています。