漢方医ブログ⑲ 漢方薬の副作用 | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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漢方医ブログ⑲ 漢方薬の副作用

 一般に漢方薬は西洋医薬と比べ、安全で害がないと思われています。西洋医薬の中には抗がん剤や抗精神病薬のような強い副作用を持つものがあり、そういった観点から全体の平均値で見ると、漢方薬は西洋医薬と比べてはるかに副作用が少ないといえるでしょう。しかし食べ物の中にもアレルギーを起こしたり、胃腸症状や湿疹が出たりするものがあるように、生薬や漢方薬にもまったく副作用がないわけではありません。皆さんに安心して漢方治療を受けて頂くためにも、今回は生薬・漢方薬の副作用について言及しておきたいと思います。

 表に漢方薬に含まれる生薬の代表的な副作用の一覧を示します。黄芩(おうごん)は優れた抗炎症効果を持ちますがアレルギーを起こすことがあり、重篤な副作用として間質性肺炎、また比較的よく見られる副作用として薬物性肝障害を起こすことがあります。甘草による偽アルドステロン症は高血圧やむくみが起きる副作用で、3%前後とする報告もあり最も頻度が高いものです。咳止めなどとして風邪薬に頻用される麻黄は動悸や血圧上昇、高齢男性では尿閉を起こすことがあります。その他、地黄による胃腸障害、大黄(下剤)による下痢、桂皮による湿疹、附子(もともとは神経毒であり、かつてはアイヌの人々が矢尻に塗って用いた)による動悸や舌のしびれが見られることがあります。さらに(さん)梔子(しし)による腸間膜静脈硬化症は腹痛や下血を起こすことがあり、多くの場合5年以上の長期間服用することで発症する蓄積性の副作用とされています。漢方薬を長く服用することが多い現代ならではの副作用ともいえるでしょう。  

 当院ではこうした副作用にも十分気を配りながら治療にあたっていますが、漢方薬を服用していて気になることなどがあれば遠慮なくご相談下さい。