内科部長ブログ5 まずは総合診療科を受診 | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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内科部長ブログ5 まずは総合診療科を受診

 総合診療科という名前を聞いたことがある方も多くなってきましたが、まだ正式な標ぼう科にはなっていないため、具体的に何を診る診療科なのかをご存じない方もいらっしゃるかと思います。そこで総合診療科について簡単に説明します。

 一言でいえば、「良くある疾患の標準治療を行う診療科」です。一人の患者さんが良くある疾患をいくつも抱えることは珍しくない話です。しかし、医学が進歩した現在、高血圧症の担当科は循環器内科、糖尿病は代謝内科、片頭痛は脳神経内科、胃炎・胃潰瘍は消化器内科、花粉症・副鼻腔炎は耳鼻咽喉科、不眠は精神科という様に、担当する専門の診療科が異なります。大病院ではこれらの疾患の治療は専門の診療科で診療されることが多く、いくつもの診療科を受診しなければなりません。しかし、これらの疾患は良くある疾患ですから、総合診療科ではひとりの医師が標準治療を行います。総合診療医はこれらの疾患の治療ガイドラインに基づき標準治療を行いますが、標準治療では治療が困難なときには専門医に紹介します。難病を抱えている患者さんは大病院に通院するのも良いと思いますが、よくある疾患をいくつか抱えておられる患者さんは、大病院で複数の診療科を受診するよりも、ひとりの総合診療医のもとで治療を受けるほうが良いと思われます。そのほうが薬の重複も防げます。

 また、総合診療医はプライマリ・ケアを行う医師です。プライマリ・ケアとは初期診療を意味します。患者さんは「診断の付いた疾患名」で受診されることも無くはないですが、多くの患者さんは「症状」で受診します。つまりどの診療科の疾患かは分からない状況で受診されるわけです。その際に重要となるのが診断推論(診断学)です。「症状」→「医療面接」→「身体診察」→「検査」→「診断」→「治療」というのが内科系疾患の主な診療の流れとなります。総合診療医は「症状」「医療面接」「身体診察」の段階でいくつかの鑑別疾患(有りうる疾患)を考えます。鑑別疾患を考える必要もなく、すぐに診断がつくこともありますが、基本的には鑑別疾患の中で確率の高い疾患を念頭に置いて検査を進めたり、あるいは見逃してはいけない疾患を除外するために検査を行ったりします。そして診断がよくある疾患であれば標準的な治療を行います。総合診療医は決して何でも診ることが出来るスーパーマンではありませんが、診断能力は比較的高いと言えます。

 風邪症状(咳、痰、鼻水、咽頭痛など)、頭痛、胸痛、腹痛・下痢、腰痛、背部痛、動悸、息切れ、めまい、むくみ、発熱、不眠、肩こり、体重減少など、良くある症状のときこそ、まず総合診療科を気軽に受診することをお薦めします。