2024年の花粉症の季節が到来しました。今年は花粉の多かった2023年の8割程度と推定されているようですが、開始時期が多少早く、過去10年間の平均飛散量の1.1倍という推定ですので、花粉症の方は早めの対応をしておきたいところです。
平成28年度に東京都が行った花粉症患者の実態調査によれば、都内のスギ花粉症推定有病率は48.8%であり、調査を始めた昭和58年度から一貫して上昇しているそうです。今や都民の半分が花粉症ということですから、耳鼻咽喉科のみの対応では追い付かず、ほとんどの内科でお薬が処方されているのが現状です。その他のレーザー治療や皮下・舌下免疫療法などの治療がご希望の方には、適応かどうかの判断も含めて、東京医科大学病院の耳鼻咽喉科を紹介しますので当内科を受診の上ご相談ください。
スギ花粉症の患者はヒノキのアレルギーも持ち合わせている方も多く、その場合にはゴールデンウィークまでアレルギー性鼻炎が続きます。スギ花粉症なのか、ヒノキのアレルギーも持っているのか、あるいは秋にもアレルギー性鼻炎の症状が出現する方は、一度、血液検査によりアレルゲン検査を受けてみることをお勧めします。
花粉症の治療の基本は第二世代の抗ヒスタミン薬です。最近では市販薬にもなっている薬剤(商品名だとアレジオン、アレグラ、クラリチン、タリオンなど)がありますが、これらの薬剤の内服のみでは効果に満足できない方はぜひ受診することを勧めます。市販薬となっていない第二世代の抗ヒスタミン薬も存在するのと、それぞれの抗ヒスタミン薬に眠気や強さに特徴があるので、内服薬を変更してみることもあります。あるいは鼻づまりが強い方には別の内服薬に変更したり追加したりします。眠気が少ない第二世代の抗ヒスタミン薬でも眠くなってしまう方には小青竜湯を試してみることを勧めます。内服薬だけでは不十分な場合には点鼻薬を追加しますし、目のかゆみが強い方には点眼薬を追加します。
ここで使用する点鼻薬はステロイド点鼻薬です。ステロイドといっても全身的影響は極めて少なく、安心して使用できます。以前には鼻の血管を収縮させる点鼻を使われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ステロイド点鼻は即効性ではありませんので、鼻みず・鼻づまりが強いときだけ点鼻するのではなく、毎日1~2回ほど定期的に点鼻する必要があります。つまり、鼻炎がすぐに改善しないからと言って、立て続けに何回も点鼻してはいけません。
抗アレルギー点眼薬は一日に4回点眼する必要がありましたが、最近では一日2回の点眼薬も出ていますので使いやすくなりました。 お気軽にご相談ください。