漢方医ブログ㉒ 小青竜湯(しょうせいりゅうとう) | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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漢方医ブログ㉒ 小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

 3月は花粉症の方たちにはとてもつらい季節です。当院にも多くの患者さんが点鼻薬や点眼薬、抗アレルギー薬の処方を希望して来院します。でも花粉症に有効な漢方薬があることは、まだそれほどよく知られていないように思います。

 花粉症の漢方医学的見方と特徴を説明すると、まず気血水理論のなかでは水滞つまり体内の水分バランス悪化と考えて治療します。鼻水や涙がとめどなく出てくる様子をみてそのように考えたのです。治療については、花粉の飛散する時期は対症療法主体ですが、飛散しない時期は漢方医学的な体質改善を目指した治療も行うことが特徴のひとつです。そして一押しポイントとしては、西洋医薬の抗アレルギー薬と異なり副作用としての眠気が出ないことが挙げられます。これは漢方薬が脳内ヒスタミンH1受容体という眠気と関係する部位に影響しないためと考えられ、受験生や車の運転をする人には大変喜ばれます。

 花粉症に用いる代表的な漢方薬が今回ご紹介する小青竜湯です。青竜は古来東方を守護する架空の動物で水(水滞)を制御する力があるためこの名がつけられたとする説があります。また出典となる『傷寒論』や『金匱要略』では「心下に水気有り(呼吸器系などに水分のだぶつきがある)」「溢飲(むくみなど余分な水分がある病態)」のときに用いるとする記載があります。つまり水様性の痰や鼻汁、くしゃみ、咳嗽といった、気管支や肺の水滞を治療する治療薬と考えられ、アレルギー性鼻炎の他、気管支喘息や風邪にも広く用いられます。ただし麻黄という生薬を含み高齢者では血圧上昇や頻脈、尿閉などを起こすこともあるため、若年者向きで高齢者には注意して用いる必要があります。

 30歳台女性の花粉症患者さんは、抗アレルギー薬は眠気のため服用できないと来院。小青竜湯を1週間服用したところかなり症状が改善し、眠気も出ず仕事に集中できるようになりました。元々冷え症でしたが足の冷えも改善したとのこと。このように花粉症以外の症状改善が期待できることも漢方薬のメリットです。今までの花粉症治療でうまくいかないときには小青竜湯もお試し下さい。