院長ブログ33 ミノキシジルのネコ・イヌに対する毒性について | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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院長ブログ33 ミノキシジルのネコ・イヌに対する毒性について

 最近、育毛成分であるミノキシジルの動物に対する毒性が海外で話題になっています。結論としては、気をつけて使用すれば問題ないと考えます。猫や犬を飼っている人は、薬剤をしっかり管理した上で、上手に使用しましょう。最近の論文を引用して情報提供します。

 ミノキシジルは代表的な発毛成分で、外用育毛剤は安全性が確立しており、男女を問わず世界各国で広く使用されています。ミノキシジルはもともと内服降圧薬として米国で開発され、その副作用に多毛が多かったことから外用育毛剤に転用されたものです。しかし、降圧薬としては評価が低く、心臓に対する副作用からほとんど使用されない状況でした。そこで、世界の脱毛症専門家は低用量のミノキシジル内服錠を用いて小規模な臨床試験を繰り返し、発毛効果と副作用のバランスの良い用量を探しました。その結果、外用薬が使用できない人のsecond-line治療薬として、ミノキシジル低用量内服も使用されるようになりました(院長ブログ6)。しかし、ミノキシジル低用量内服は、どこの国でも公式には認可されていませんので、あくまで個人責任での購入、内服となります。

 最近、ミノキシジルの動物に対する毒性が海外で話題になっています。ミノキシジルは血圧を下げる作用がありますが、動物、とくにネコとイヌについては感受性が高く、低濃度の摂取でも死に至ることがあります。ペットでは急速な血管拡張作用により、低血圧、頻脈、不整脈、低体温、肺水腫、胸水、呼吸困難をきたし、重症例では心不全、心停止/呼吸停止に至ります。特にネコでは感受性が高いとされています。米国では外用ミノキシジルによるネコ、イヌの誤飲(なめるも含む)が211例報告されており1)、うち87例で症状が出現し、ネコは8匹(62匹中)が死亡しています。ほかの報告2)を含めてイヌに死亡例はありません。ミノキシジル内服では報告がありません。日本ではミノキシジル内服外用によりペットに症状が出現した事案は報告されていません。それでは、どの程度誤飲すると症状が出るのでしょうか。症状の出現は、ネコの種類や状況によっても異なるので、一定の結論は示されていません1)2)。しかし、少量、たとえば外用液の1滴あるいは1錠でもネコは死に至る可能性があります。したがって、外用後のボトルはふたをしっかり閉める、個包装でない錠剤も同様にする。他部位や洗面台に液が付着した場合には拭き取るなどの注意が必要です。髪が乾燥すれば、ネコが少し髪をなめる程度は問題ないと思いますが、できるだけ避ける。枕カバーは定期的に洗濯するようにしてください。毒性の症状は30分以内に急激に出現することもあるので、誤飲が疑われた場合には早急に獣医に相談しましょう。  

 ペットによる誤飲は、ほかの薬剤でもときどき問題になります。ミノキシジルによる毒性は日本ではまだ報告されていません。頻度が低いのか、それと気づかれていない可能性もあります。ミノキシジルは男女を問わず重要な育毛成分ですから、薬剤の管理をしっかりして使い続けましょう。

文献

1)J Am Anim Hosp Assoc 57: 225-231, 2021.

2)J Am Acad Dermatol 93: 522- 524, 2025.

2026/9/14 西新宿サテライトクリニック 坪井 良治

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