当院には円形脱毛症の患者さんが数多く受診されています。少数の脱毛斑の場合,8割程度の患者さんは1 年以内に回復すると言われていますが、重症例では,軽快・増悪を繰り返して長引くことが多いです(図)。それに伴う患者さんやご家族の心理的,精神的負担は大変なものがあります。当院では軽症の患者さんには外用薬や注射を、中等症の方には局所免疫療法を、さらに重症(50%以上の脱毛面積)の方にはJAK阻害薬の内服をお勧めしています。しかし、いずれの治療法も症状に応じて行う対症療法であり、完全に病気を治しきってしまうものではありません。円形脱毛症の症状は6か月(半年)くらいを一区切りとして自然に良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多いです(図)。したがって、有効な治療方法でも、悪化している場合には治療効果を実感しにくいことがあり、逆に何もしなくても一時的に良くなることもあります。したがって、症状が悪くなった人もあきらめないように、また改善した人も油断しないように、一定の治療を続けることをお勧めします。繰り返しになりますが、重症患者さんの場合には一喜一憂することなく長く上手に付き合っていくことが大切です。
