漢方医のブログ① | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
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漢方医のブログ①

 漢方外来担当の及川です。このブログでは漢方医学に関連したさまざまな話題についてお話してみたいと思います。
 今回はまず漢方医学のご紹介から。漢方医学と聞いて、皆さんの思い浮かべるイメージはどのようなものでしょうか。私は漢方医学について5点ほどお伝えするようにしています。

1 日本の伝統医学です
 漢方医学の源流は中国から伝来しました。6世紀に朝鮮半島経由で仏教の経典とともに中国の医学書が持ち込まれたとされています。その後しばらくはこうした医学書を受容・消化する時代が続きます。しかし室町時代ころから日本独自の進化をし、鎖国以降の江戸時代に特に大きく発展しました。漢方医学の呼び名はだいぶ時代が下ってからで、西洋医学(蘭方)に対して我が国の伝統医学を漢方と呼ぶようになりました。このように漢方医学は、現代の中国伝統医学とは大きく異なる医学となって今の私たちに受け継がれているのです。


2 生薬を用いた治療を行います
 乾燥させた薬用植物など、生薬の組み合わせでひとつの処方ができます。例えば有名な葛根湯は単一成分ではなく、7つの生薬から出来ているのです。この組み合わせの妙で多彩な症状にも一処方で対処でき、最大限の効果を発揮すると同時に副作用も最小限にするなど、先人の知恵が詰め込まれています。


3 漢方医学的な考え方に基づき治療をします
 一人の患者さんに一つの最適な薬を選ぶ漢方医学の診断は、「証」という言葉で表されています。何やら難しそうに聞こえますが今風に言えばオーダーメイド治療を目指したもので、現代医学の標準化された診断および治療とは全く異なる体系であるものの、裏を返せばお互い補い合う関係にあるとも考えられます。


4 患者さんの生活の質(QOL)を重視します
  何しろ漢方医学が創られた時代には、現代医学の血液検査も画像検査も存在しません。したがって、ただ目の前の患者さんのつらい症状をいかに取り除くかを重視してきました。ある意味、医療の原点を大切にしているともいえます。また現代医学が臓器別に細分化されるのに対し、東洋哲学的バックボーンである心身一如(心と体を分けて考えない)を大事にしています。


5 統合医療に向いた医療体系です
 上記のように、漢方医学は患者中心・治療重視、現代医学は病気中心・診断重視ともいえます。そこで両者を組み合わせてよりよい治療効果を引き出そうというのが統合医療の考え方です。意外に思われるかもしれませんが、伝統医療と現代医療を同一医師が行えるのは世界でも日本だけ(中国などではそれぞれの医師免許が別建て)、しかも健康保険が使えます。ぜひ皆様にもそのメリットを享受していただきたいと思います。


※漢方外来は火曜日17:00~19:00。ご予約はWeb予約、もしくはお電話(03-6302-0755)にて承ります。