9月は台風や雨の多いシーズンですね。台風や低気圧が近づくと頭痛がして体調を崩すいわゆるお天気病み、天気痛の人もいると思います。そんな人の体調管理に役立つのが五苓散という漢方薬です。
五苓散は『傷寒論』『金匱要略』という漢代の漢方医学最重要古典を原典とする漢方薬です。五苓散は漢方医学の概念である水滞に対応する漢方薬、すなわち利水剤の代表的処方です。現代医学的な利尿剤とは異なる作用をもち、体内の水分代謝異常を是正し正常に戻す作用があるとされています。漢方医学的には体の表面には熱が、裏面すなわち消化管などには水滞が認められる場合に適応となります。このことは五苓散が単なる利尿剤でなく、漢方医学的に水分バランスの乱れから起きていると考える頭痛やめまい、急性胃腸炎、二日酔い、さまざまな疾患に伴う浮腫など、一見無関係に見える広範多彩な症状に効果的であることに繋がっています。近年では硬膜下血腫を縮小・改善する効果など、脳神経外科領域を中心に臨床的エビデンスも蓄積されつつあります。また薬理学的には、水分子の細胞内外への出入りに関わるアクアポリンというタンパク質を介した作用機序が明らかにされ注目されています。このように幅広い臨床効果とユニークな作用を持つ五苓散ですが頭痛に使う場合、現代医学の頭痛薬(鎮痛剤)と比べ即効性には劣ります。そこでお天気病みの人が五苓散を使うときのポイントとして、天気が崩れる数日前から飲んでおくことをお勧めします。あるいは台風や雨の多い時期については毎日服用することで、頭痛を予防しうっとうしい季節をより快適に過ごせます。
五苓散は近年では本邦における処方頻度も増加しています。その臨床効果の高さや副作用の少なさから、五苓散は体内の水分代謝異常を伴う諸症状に対して今後ますます頻用される可能性が高いと考えられます。
