アトピー性皮膚炎についてAbout Atopic dermatitis
アトピー性皮膚炎の原因は、ダニなどに対するアレルギーだけでなく、体質的に皮膚のバリア機能が低下して乾燥肌になっていることも挙げられます。アトピー性皮膚炎は特別な病気ではなく、体質的に乾燥肌の人が痒みのためにひっかいて、湿疹が特定の場所に繰り返しできる疾患です。薬による治療も大切ですが、その前に生活環境を整えることが最も大切です。
当院では、生活指導を行いながら、外用薬を主体に内服薬を補助薬として標準的な治療を行っています。外用薬はステロイド軟膏を第1選択薬として、タクロリムス軟膏(プロトピック®など)やデルゴシチニブ軟膏(コレクチム®)も使用しています。保湿剤としてはクリームタイプではなく白色ワセリンなどの油脂系の保護剤をお勧めしています。
保存的治療で良い状態を維持できない重症の患者様には、医療費は高額とはなりますが、新しい治療法をお勧めします。皮下注射薬にはデュピルマブ(デュピクセント®)とネモリズマブ(ミチーガ®)、トラロキヌマブ(アドトラーザ ®)が、JAK阻害薬の内服にはバリシチニブ(オルミエント®)、ウパダシチニブ(リンヴォック®)、アブロシチニブ(サイバインコ®)があります。当院としては、効果が高く副作用も少なく自己注射も可能なデュピクセント®を第1にお勧めします(院長ブログ12参照)。効果に個人差によるばらつきが少なく、長期使用により効果が持続します。乳幼児にも注射可能です(生後6か月以上)。また、類似疾患である結節性痒疹にも適応があり、効果が高いです。ミチーガ®は痒みは止まりますが、皮疹が悪化する場合があり、あまりお勧めしません。注射が苦手な方、短期治療希望の方、デュピクセント®による結膜炎の副作用のある方はJAK阻害薬、特にリンヴォック®の内服をお勧めします。JAK阻害薬は発売された当初の予想より重篤な副作用が少なく、比較的安全な薬剤であることがわかってきました。また、速効性ですが、最初は効果が高くても経過中に悪化する症例を経験します。効果不十分な場合、JAK阻害薬は用量をあげることができますが、副作用も多くなる傾向があるので要注意です。JAK阻害薬を希望される場合には事前に血液検査や胸部X線検査を受けていただきます。
- 院長ブログ12 デュピルマブ(デュピクセント®)によるアトピー性皮膚炎の治療実績
- アトピー性皮膚炎における生物学的製剤の使用ガイダンス
- 院長ブログ 7 アトピー性皮膚炎の治療比較:デュピルマブ(デュピクセント®)/ JAK阻害薬(2022)
- アトピー性皮膚炎におけるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害内服薬の使用ガイダンス
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