脱毛症 | 新宿区西新宿の皮膚科・内科 | 西新宿サテライトクリニック
脱毛症 ALOPECIA

脱毛症についてAbout Alopecia

脱毛症には円形脱毛症、男性(女性)型脱毛症のほかに休止期脱毛症、抜毛症、圧迫性脱毛症、薬剤性脱毛症、先天性脱毛症、瘢痕性脱毛症などいろいろな脱毛症があります。まず的確な診断が重要です。次に診断に基づいて標準的治療や生活指導を行います。

円形脱毛症

背景となる原因

円形脱毛症は毛包組織に対する自己免疫疾患と考えられています。通常は自己のリンパ球は自己の毛包を攻撃しないように保護されているのですが(免疫寛容)、なんらかの理由で毛包を保護するバリアが破壊されると、攻撃性の高いCD8陽性NKG2D陽性の細胞傷害性Tリンパ球が特定の毛包を攻撃します。この攻撃は波状攻撃となるので症状は繰り返します。きっかけとなる背景として疲労や感染症、精神的ストレスなどが認められる人もいますが、きっかけがない人の方が多いです。遺伝的な背景や甲状腺疾患など、ほかの自己免疫疾患を合併している人もいます。

写真:円形脱毛症

円形脱毛症の治療:総論

すでに述べたように円形脱毛症は自己免疫疾患ですから、治療に関しては、ほかの自己免疫疾患である膠原病や関節リウマチなどと同じことが当てはまります。つまり、治療法は症状に応じて行う対症療法であり、完全に病気を治しきってしまうものではありません。しかし、治療を続けていると、自己免疫状態が徐々に改善されて自然に治ってしまう場合はあります。円形脱毛症は他の自己免疫疾患と異なり、からだが壊れてしまうことはありませんので、治療は副作用の少ない方法を選ぶのが原則です。治療せず経過観察する方法もあります。

軽症の円形脱毛症の治療

脱毛斑の部分にステロイドの外用や注射トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト®)を行います。リンパ球に攻撃される毛包は皮膚の深い部分(脂肪組織)にあるため、外用薬はあまり効きません。注射は確実に効果が得られますが、脱毛面積が広いと注射回数が多くなり実施が難しくなります。注射は4-6週間間隔で行いますが、かなり痛いので小児には行いません。保険適応外ではありますが、男性型脱毛症の治療薬であるミノキシジル(リアップ®など)の外用は円形脱毛症には効きませんが、回復期の毛を太く長くする作用があるので、1日1回外用することをお勧めします。

中等症の円形脱毛症の治療

中等度から重症の成人ならびに学童児には局所免疫療法をお勧めします。局所免疫療法は化学試薬を塗ることで頭皮に軽い炎症をおこし、それにより良いリンパ球を脱毛部位に集めて、毛包を攻撃する悪いリンパ球が脱毛部位に集まるのを抑えます。従来はSADBEという物質が使われていましたが、当院ならびに欧米では痒みの少ないDPCPを使用しています。局所免疫療法は円形脱毛症の治療法として半世紀前に経験的に考案され世界的に評価の高い方法ですが、医薬品は使用しませんので保険診療とは認められず自費診療となります。速効性はありませんが、外用する頭皮全体に発毛効果が得られ、長期使用による重篤な副作用がありません。ただし、合併するアトピー性皮膚炎の症状がひどい人は、実施により全身の症状が悪化する場合があります。2週間に1回程度の受診が必要ですが、外用する濃度が決まれば自宅での治療も可能です。その場合には受診は3~5か月に1回程度で済みますので、遠方からの受診も可能です。

初診料 3,300円
再診料 1,650円
DPCP/SADBE施術料 1,100円
ホームケア外用液 10,000円
ケナコルト注射 1,100円
局所免疫療法の料金

急速進行型円形脱毛症の治療

急速進行型はびまん性型ともよばれ、類円形の脱毛斑を作ることなく、ある日突然に頭髪が抜け始め、抗がん薬を使用した時のように1~2か月で頭部の半分以上、あるいはほとんどの毛が抜けてしまう特殊な病型です。恐怖でパニックに陥る人もいますが、予後は良いことが多いです。治療せずに経過観察しても6割くらいの方は1年以内に回復します。しかし、できるだけ早く毛量を回復させたい人は、一時的にステロイドのパルス療法や内服療法を行います。パルス療法は入院治療となりますが、同じ効果が得られる内服療法は外来通院で可能です。ステロイドは半年間を目途に減量中止します。この病型にJAK阻害薬の適用はありません。脱毛が再燃する人は局所免疫療法に移行します。副作用少なくゆっくり改善させたい人は最初から局所免疫療法をお勧めします。残念ながら1-2割の方は症状が固定して汎発型に移行します。

重症の円形脱毛症の治療

残念ながら全頭型や汎発型となった重症円形脱毛症を確実に改善させる治療法はありません。しかし、2022年6月に分子標的薬のひとつであるJAK阻害薬のうちバリシチニブ(オルミエント®)に円形脱毛症の適用が追加され、治療効果を上げています(ブログ参照)。脱毛面積50% 以上の15歳以上の慢性型円形脱毛症の患者さんが対象です。現在、6歳以上の小児の適用をめざして臨床試験が進行中です。また、類似薬であるリトレシチニブ(リットフーロ®)の内服も可能になりました。12歳以上が対象です。新薬のため2週間に1回の受診が必要です。高額療養費制度を利用するための長期処方は2024年9月1日から可能になります。ウパダシチニブ(リンヴォック®)はアトピー性皮膚炎に適用がありますが、円形脱毛症の適用拡大をめざして国際臨床試験が現在進行中です。JAK阻害薬は高価な薬剤ですが、各種医療費助成制度を利用することで減額することが可能です。また、感染症などの副作用をおこす可能性があるので、事前に血液検査や胸部X線検査を受けていただきます。ただし、発売当初の想定よりも重症副作用の頻度はかなり少ないので、効果/副作用比率は上がっていると考えられます。ステロイド内服と異なり、長期内服した時の蓄積副作用が少ないのも特徴です。全頭型の脱毛状態が長く続くと薬剤への反応性が悪くなるので、早期の治療開始をお勧めします(ブログ参照)。

男性(女性)型脱毛症

男性型脱毛症とは

男性型脱毛症は壮年性脱毛とも呼ばれ、思春期以降に徐々に頭髪が薄くなり、最終的に額の生え際が後退し、頭頂部の髪がなくなる現象を言います(パターン脱毛)(図:男性型脱毛症の診断)。男性の30%がなると言われていますが病気ではありません。遺伝傾向があります。男性ホルモンは一般的にヒゲや胸毛などを濃くする方向に働きますが、ヒトにおいては前頭部と頭頂部の毛に対して逆に働き、頭髪を薄くします。血液中の男性ホルモンは毛包でtestosteroneからdihydrotestosterone (略してDHT)という活性化された男性ホルモンに変換されて作用します。このDHTの変換に関わる酵素が5α還元酵素タイプ2 で、この酵素の活性を阻害するのが内服治療薬です(図:5α還元酵素阻害薬内服による治療)。この薬には男性ホルモン作用や受容体に対する作用はありません。

女性型脱毛症とは

女性の場合には生え際を残し頭頂部の広い範囲が薄毛になります。完全に頭髪がなくなることはありません。男性の場合と異なり性ホルモンのかかわりは明白ではありません。また年齢も更年期前後に発症することが多く、発症機序は男性と異なると考えられています

図:女性型脱毛症
初診料 3,300円
再診料 1,650円
プロペシア 28錠 9,400円
フィナステリド 28錠 4,620円
ザガーロ 30錠 9,900円
デュタステリド 30錠 4,620円
5%ミノキシジル 60ml
(ミノグロウ)
3,960円
男性型/女性型脱毛症治療の料金

内服治療薬の効果と副作用

フィナステリド1mg錠(プロペシア®など)
  • 効果

    5α還元酵素タイプ2阻害薬で、発売されて15年以上が経過し、有効性が高く副作用の少ない薬剤です。国内外での治験の成績によると、1日1回の内服を継続することで1年後に58%の人に外見でみてわかる頭髪の増加が観察されます。3年後には「やや改善」以上が78%に増加しました。ただし、すべての人が効果を実感できるわけではありません。また、内服を中止すると効果は数ヶ月後に消失し、頭髪の状態は元に戻ります。

  • 副作用

    少数ですが肝機能障害が報告されています。肝機能異常のある方の内服はお勧めしません。また、これまでの治験で全体の数%に、勃起力低下、性欲減退、精液量の減少などの訴えが報告されています。このような症状に気付いた場合には内服を中止してください。

  • 注意事項

    この薬剤は男性だけを対象とした内服薬です。女性には無効とされています。また、女性が妊娠中にフィナステリドを内服すると、男性胎児の外性器に異常が生じます。従って妊娠の可能性のある女性の内服は禁忌です。ただし、夫がフィナステリドを内服していても問題ありません。

デュタステリド0.5mg錠(ザガーロ®など)

デュタステリドは5α還元酵素タイプ1と2の両方を阻害する薬剤で、フィナステリドよりも強力にDHTを抑制します。半減期が長い(89時間)。治験ではフィナステリドよりも有効性が高かったが、その差はわずかでした。フィナステリドが無効であった症例の大部分に有効であったとの報告があります。いっぽう、副作用の程度に有意差はありませんでしたが、デュタステリドの方が精液量が減少しやすい傾向があります。挙児希望の男性はいずれの薬剤も内服を避けた方が良いでしょう。

外用治療薬

外用育毛剤であるミノキシジル(リアップ®など)はもともと内服の降圧薬でしたが、副作用として多毛症が報告され、以後、男性型脱毛症の外用治療薬として開発されました。医薬品ですが医療保険が効かないため薬局で直接購入できます。店頭にはいろいろな育毛剤が販売されていますが、優れた効果のエビデンスがあるのはミノキシジルだけです。内服育毛薬とは作用機序が異なるので、大きな効果を期待する人は併用した方がよいでしょう。ミノキシジルの副作用はかゆみやかぶれなどです。非常に敏感な人は動悸などを訴える場合があります。

そのほかの治療法

植毛術は後頭部の毛包を薄毛の部分に移す手術で、自費診療です。男性(女性)型脱毛症の有効な治療法ですが、毛包を移動させるだけで総数は変化しません。前頭部が後退して薄くなっている人に特に有効です。当院では実施していませんので、治療を希望される場合には専門のクリニックをご紹介します。
再生医療のうち、自家毛球部毛根鞘細胞(S-DSC)を用いた男性型・女性型脱毛症に対する細胞治療の臨床試験は終了しました。後頭部から毛包を含む組織を摘出して培養施設に送り、培養して増えた細胞を薄毛部に注射して発毛を促進させます。今後の実施予定と施設については(株)資生堂にお問い合わせください。当院では実施していません。

瘢痕性脱毛症

まれな脱毛症です。脱毛部には毛穴がなく瘢痕となります。脱毛部やその周囲に発赤、鱗屑などの炎症があり、徐々に拡大します。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、とびひ(膿痂疹)と誤診されることが多いです。毛包幹細胞が局在する上部毛包が白血球によって攻撃されることで非可逆性の永久脱毛がおこります。治療の目的は脱毛斑の拡大を防ぐことですが、長期の通院が必要になります。瘢痕性脱毛症にはいろいろな種類がありますので、詳しくは診察の時にお尋ねください。
毛孔性扁平苔癬(LPP)、frontal fibrosing alopecia(FFA)、慢性皮膚エリテマトーデス(CCLE)、禿髪性毛包炎(FD)、頭部乳頭状皮膚炎(FK)、膿瘍性穿掘性頭部毛包周囲炎(DC)、など。

画像:禿髪(とくはつ)性毛包炎:とびひに似る

禿髪(とくはつ)性毛包炎:とびひに似る

画像:前頭部線維化脱毛症(FFA):額が後退

前頭部線維化脱毛症(FFA):額が後退

休止期脱毛症

休止期脱毛症とは何らかの原因で成長期にある毛包が休止期に移行することで一時的に脱毛が増える状態をいいます。急性と慢性があり、急性では1日300本程度の脱毛が半年程度持続します。明らかな脱毛斑は認めません。原因としては、脱毛の2-3か月前に出産、ダイエット、高熱などのエピソードがあることが多いです。慢性にゆっくり進行するタイプでは原因がはっきりしない場合が多いです。その他の原因として薬剤、栄養不良、鉄欠乏性貧血、甲状腺疾患、重篤な全身疾患、手術、感染症(コロナウイルスなど)、強い精神的ストレス、頭部の湿疹などが含まれます。多くの場合には原因が除去されれば元の毛量に回復しますが、十分に改善しない場合もあります。治療としてはミノキシジル(リアップ®など)の外用をお勧めします。生活習慣の改善では、シャンプーの回数を減らすこととオイルや保湿剤を外用して頭皮を保護することをお勧めします。

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